歌って踊って時には命がけ?驚きのいきもの求愛術
「モテる」ための知恵?驚きのいきもの求愛術
私たち人間にも「どうすれば相手に気に入ってもらえるか」と悩んだり、工夫したりすることがありますよね。実は、自然界の生き物たちも、子孫を残すという大切な目的のために、様々な方法で異性にアピールし、「モテる」ための独自の戦略を繰り広げています。その中には、人間の想像を超えるような、驚くべき知恵や工夫が隠されているのです。
今回は、「いきもの知恵くらべ」として、生き物たちのユニークで巧妙な求愛術をご紹介します。
視覚と聴覚に訴える!華麗なるパフォーマンス
異性の気を引くために、自分の体を見せつけたり、美しい声を聞かせたりする方法は、人間にも通じるところがあります。しかし、生き物たちのパフォーマンスは、時に私たちの度肝を抜きます。
例えば、ニューギニアに生息するフウキンチョウのオスは、メスにプロポーズするために、驚くほど手の込んだ巣(展示場)を作ります。小枝や苔を使って器用なトンネル状の構造物を作り上げ、その周りをカラフルな木の実、花、時には人間の捨てたプラスチック片などで飾り付けます。さらに、オスはその場で様々なステップを踏むダンスを披露し、メスが気に入るまで何度も飾り付けを調整するといいます。まるで、こだわりの内装とダンスで勝負する建築家兼ダンサーのようですね。
また、鳥類には美しい鳴き声でパートナーを探す種が多くいますが、オーストラリアに暮らすコトドリは、他の鳥の声だけでなく、カメラのシャッター音やチェーンソーの音まで真似できるという驚異的な能力を持っています。複雑で多様な音を駆使することで、メスへのアピール力を高めていると考えられています。
プレゼントは大切!贈り物や立派な巣でアピール
誠意を見せるための贈り物や、安定した家庭を連想させる立派な住まいは、人間社会でも有効なアピール方法かもしれません。生き物の中にも、こうした戦略をとるものがいます。
日本の浅い海に生息する小さな魚、カメノコフシエラガイのオスは、メスを呼ぶために、貝殻や砂粒を運び集めてドーム状の産卵床を作ります。オスは自らの尾びれで貝殻を掃き清めたり、石を動かしたりと、まるで家を建てる大工さんのように働きます。この立派な巣があることで、メスは安心して卵を産むことができるのです。
時には命がけ!?驚きの生存戦略と一体化した求愛
生き物の求愛の中には、文字通り命がけであったり、一見奇妙に思えるものもあります。
皆さんご存知のカマキリは、交尾後にメスがオスを食べてしまうことがあります。これは、メスが卵を育てるための栄養を得るためと考えられていますが、オスにとってはまさに命がけの求愛です。しかし、面白いことに、頭部を食べられたオスの方が、その後も体を動かし交尾を続けられるという研究結果もあります。子孫を残すためなら、自らの命さえ差し出すという究極の戦略ですね。
深海に棲むチョウチンアンコウの仲間では、オスの体がメスの体に噛みつき、やがて血管なども繋がって文字通り一体化してしまうという、非常にユニークな繁殖形態が見られます。オスはメスから栄養をもらい生き続け、メスはいつでも繁殖できる準備ができるという仕組みです。これは求愛というよりは、もはや共生関係と言えるかもしれません。
まとめ:いきものたちの知恵は無限大
今回ご紹介したいきものたちの求愛術は、ほんの一例に過ぎません。体色を変化させたり、フェロモンを使ったり、集団でアピールしたりと、その方法は多種多様です。
これらの驚くべき行動の裏には、「子孫を残す」という生命にとって最も重要な目的があり、それを達成するための長い進化の過程で培われた、様々な知恵や工夫が隠されています。
彼らのユニークな「恋愛」や「結婚」に向けた努力を知ると、生き物たちの世界がいかに奥深く、驚きに満ちているかを改めて感じられますね。次に動物園やテレビで生き物を見る機会があったら、ぜひ彼らの求愛行動にも注目してみてください。きっと新しい発見があるはずです。