「これって何個?」数を認識するいきものたちの驚きの知恵
いきものたちが持つ驚きの能力の一つに、「数を認識する力」があることをご存知でしょうか。私たち人間は、「1、2、3…」と数えることができますが、生き物の中にも、まるで「数」を理解しているかのような巧妙な行動を見せるものがいます。今回は、そんな「数の知恵」を持ついきものたちをご紹介します。
エサの数を覚える鳥たち
鳥類の中には、数が絡む状況で賢い行動を見せるものがいます。例えば、カラスを使ったある実験では、エサの入った複数の容器のうち、特定数のエサが入った容器だけを選ぶように学習できたという報告があります。正確に「数える」というよりは、特定の「数」を認識しているようです。
また、身近な鳥であるハトでも、エサの量が多い方を選ぶといった、「多さ」を比較する能力が見られます。これは正確な数を数えているわけではありませんが、量的な情報を判断する点で数の認識に近い能力と言えるでしょう。
道案内の数え方?ハチのナビゲーション
小さな昆虫であるハナバチにも、数の認識らしき能力が見られます。ハナバチは巣とエサ場を往復する際に、特定の目印の数を記憶して帰り道を判断しているという研究があります。例えば、入り口に置かれたポールがいくつかある場合、その数を頼りに巣を見つけることができるのです。これは、単なる場所の記憶だけでなく、「目印がいくつ並んでいるか」という情報も利用している可能性を示唆しています。
獲物や子の数を把握するいきものたち
動物が数を認識する能力は、生き残るための様々な場面で役立っています。
- 捕食者からの回避: 集団で行動する動物の中には、仲間の数を認識し、群れの規模によって安全性を判断している可能性が指摘されています。数が多いほど捕食されにくい、という経験則に基づいた行動かもしれません。
- 採餌の効率化: エサが複数ある場合、数の多い方を選ぶことで、より多くのエネルギーを得ようとします。前述のハトの例もこれにあたります。
- 繁殖戦略: 自分の産んだ卵の数や、子どもの数を認識していると思われるいきものもいます。例えば、ある種の鳥は、抱卵する卵の数が適正な数よりも多すぎたり少なすぎたりすると、それに気づいて調整する行動をとることがあります。これは、効率よく子孫を残すために、特定の数を「知っている」かのような行動です。
人間の数え方とは違う?
いきものが示す「数の認識」は、私たち人間が「1、2、3…」と概念的に数を数えるのとは少し違うかもしれません。多くの場合、それは「これくらい」といった多さの感覚や、特定の数のパターンを認識していると考えられています。専門的には「数量識別能力」や「枚数弁別能力」などと呼ばれ、正確な数を数える計算能力とは区別されることが多いです。
しかし、それでも、数の情報を使って巧みに環境を判断し、自らの生存や繁殖に役立てているいきものたちの姿は、まさに驚くべき知恵と言えるでしょう。
まとめ
今回ご紹介したいきものたちの「数の知恵」は、彼らが単に本能だけで生きているのではなく、周囲の環境から情報を読み取り、それを元に賢く行動している証拠です。私たちが普段見過ごしているような身近ないきものたちも、実は驚くほど多様な能力を隠し持っています。彼らの知られざる一面を知ることで、いきものたちの世界がより一層面白く見えてくるのではないでしょうか。